東京医療保健大学
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ヘルスケアコラム

音をデザインする

医療保健学部 医療情報学科
安枝 和哉

デザイン(Design)とは何でしょうか.「この車はデザインが良い」など見た目を指す言葉として使っている方も多いと思います.デザインは日本語では「図案」や「設計」などと訳されることが多く,何かを作る前に思案することを全般的にデザインと言います.

身近なデザインの1つとして工業製品のプロダクトデザインがあります.例えば,新しく洗濯機を開発しようと考えると,ターゲットは誰か,形状,機能,操作パネルの配置,カラーバリエーションなど,製品として必要なことを考えて設計図を作ります.この場合のデザインは視覚的,機能的なデザインですが,聴覚的なデザインも重要となります.これを「音のデザイン」と言います.

音のデザインとして最も身近なものは,テレビ番組や映画などの効果音です.特にアニメでは,普段の生活では起こりえない大げさな効果音が付加されていることが多く,これによって視聴者に対して状況をわかりやすく伝えることができます.ニュース番組でも,ヘッドラインのテロップとともに効果音を再生することで,次の内容へ移ったことを伝えています.

日常生活の中でもデザインされた音は多く存在します.サイン音と呼ばれる音です.例えばインターホンの呼出音や電子レンジの音などです.エアコンなどのオン,オフがある家電では,短い音がオン,長い音がオフ,あるいは短い音1回がオン,2回がオフであることが一般的となっており,サイン音を聞くことで何が起こったかを瞬時に把握することができます.一方で,これらの音を理解するためには事前の学習が必要になることがあります.家電の様な個人が所有するものには取扱説明書がありますが,公共空間などで多くの人に触れる音はその内容を十分に検討し,直感的でわかりやすい音をデザインする必要があります.

サイン音は危険や注意を知らせる音としてもよく耳にすることがあります.技術の進歩により機械から物理的に出る音は小さくなっています.騒音の面からすると機械から出る音が小さくなることは望ましいことですが,音がなくなることで困ることもあります.例えば,電気自動車やハイブリッド車などは低速時にエンジン音がないため,歩行者が車両の接近に気付かないことがあります.そのため,車両接近通報装置が搭載されており,歩行者へ接近を知らせる音が再生されています.

駅にも多くのサイン音が存在しています.改札付近で「ピーン・ポーン」と言った音や,階段付近で鳥のさえずりを聞いたことがある人は多いと思います.これらの音は主に視覚障害のある方に対して,場所を知らせるための誘導音として用いられています.また,電車の到着や発車時の音楽,ドアが閉まるときの音など,状況を知らせるために様々なサイン音が存在しています.これらの音は既に存在する音や周囲環境とのバランス,心理的な作用を考える必要があり,音色やメロディなどの研究が日々進められています.

このように,何気なく通勤,通学している中にもデザインされた音は無数に存在しています.普段は気にしていない音に少し耳を傾けてみると新たな発見があるかもしれません.

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