東京医療保健大学
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ヘルスケアコラム

教育DXの推進と展望

和歌山看護学部 看護学科
北得 美佐子

オンライン授業を開始して3年目となった。本学では2019年末から始まったコロナ禍でも教育を止めることなく維持していくために様々な取り組みを実施した。当初は講義や会議をインターネットを使用して行うことに抵抗を感じた教員や学生も多かったと思うが、リモート学習への移行は、パンデミックの影響で一気に加速した。時代はクラウドなどを利用して情報を入手・分析してきたこれまでの情報社会Society 4.0から、Society 5.0へ移行し、社会における様々なビッグデータをAIで解析することにより、人々の生活や健康診断・促進、疾患の早期発見、医療現場でのロボットによる支援も普及している。今年度はHSP(Health data Science Program)が文部科学省から「数理・データサイエンス・AI教育認定プログラム」として認定された。カリキュラム構築にあたり、人として、いのち・人間を尊重し、社会を支えられる医療人を育成する本学の理念についても再考する機会があり、進化したデジタル技術を浸透させるだけでなく、⼈々の⽣活をより良いものへと変⾰することの大切さを改めて感じている。

本学のDX(Digital Transformation)は、政府の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」*)の三本柱となる「教育現場におけるデータの利活用の促進」「教育ビッグデータの利活用に向けた環境整備」「対面とオンラインのハイブリッドによる学びの実現」を踏まえ、大学ビジョンやディプロマポリシーに沿って構築したものであり、2020年7月には「東京医療保健大学デジタルフォーメーション計画」として定義された。また2021年7月には「本学が行うDXは、感染拡大防止にとどまらず、教育の質向上の一環として行われるものである」との位置づけが明確にされた。

今後の教育DXの推進については、時代の流れに添いつつもDX化すべきものと従来の方法を継続すべきものを慎重に吟味していく必要がある。例えば講義においては、オンデマンド授業は学生がいつでも何回でも大切なところを繰り返し見ることが出来るというメリットがある。しかし、リアルタイム授業や対面授業では、学生達に問いかけながら学生の反応を見つつ講義の展開を適時コントロールし、知識の習得や理解、知的諸能力に関する認知領域だけでなく、意思や情緒と正しい判断力や適応性の発達に関する情意領域への働きかけも可能である。すなわち、講義の方法についてもそれぞれの目的に応じて選択していくことが大切であり、ICTを活用した授業について学びの質を保証し続けるためには、学習目標・評価方法、授業方法の整合性を踏まえたインストラクショナルデザインの構築が重要となる。

実習においては臨地での実習が難しい期間が幾度もあったが、昨年度より、東が丘看護学部、立川看護学部との合同カンファレンスを開催し、リモート実習でも学部間で同じ事例を用いて情報のアセスメントや対象の支援の方向性について検討し合える機会を設けている。このカンファレンスに参加する学生達の学習意欲の向上には目を見張るものがあった。今後コロナ禍が収束した後も、本学の様々な学部間での横のつながりを大切にしつつこのような取り組みを継続し、学生達の学修を深めていきたい。

また7月末に日本赤十字社和歌山医療センタースキルラボ室で実施した急性期看護援助論(術後第一離床の支援)のシミュレーション演習のLive配信では、全国から250名超の教員の応募があり、2時間以上の配信中80%以上が最後まで視聴を続け、終始活発な質問が飛び交う中で適時回答しながら演習の解説を行った。視聴者の関心は、演習の構成や事前学習、評価方法の他、自主的に参加した3・4年生が担うSA(Student Assistant)への教育方法と多岐に渡り、如何に現在の教育現場でシミュレーション教育への関心が高まっているかを実感することが出来た。Live配信に参加した学生からも、今回の演習に参加して得られた学びや後期以降の学習意欲が語られ、満足度や学修効果が高かったことが感じ取れた。このような機会は全学部にオンライン授業が普及したからこそ実現できたことである。今後も学生が卒後も様々なことを経験していく中で、知識やスキルを身に着けるだけでなく、本学で学んだことをよかったと思える大学にしたい。そのためにも、今年度は学生が自己の学習を管理し能動的な学修を進められるよう、教育の可視化への取り組みに力を入れたいと考えている。 

参考*) デジタル社会の実現に向けた重点計画,2021.6

教員データベース:北得 美佐子⇒

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