東京医療保健大学
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ヘルスケアコラム

コロナ禍が転機

医療保健学部 看護学科
高野 海哉

4月10日に開講される予定だった看護学科の「体の仕組みと働きⅠ」授業を皮切りに、東が丘、立川、船橋、さらには和歌山でも授業を行う予定でした。ところがこのコロナ禍で、対面授業は休止となり、5月より授業を収録して配信するオンデマンド型の授業を実施することになりました。

さあ、どうしようか。対面で行なっていた授業を録画するとは、どうしたらいいのか。何か特別な配慮は必要なのか・・・とりあえず、キレイに録音したいのでUSBマイクを購入しました。形から入り、色々悩み抜いた4月、行き着いた結論は、“普段通りで行こう”。素の授業をしよう、対面で行うようないつも通りの授業をしようと決めました。

そして授業収録。はじめは慣れません。学生がいない授業。無観客試合ならぬ無学生授業。一人で喋っていて虚しいです。言葉も噛みます。しかし、撮り直しはしません。全てone-take。対面授業では、その授業回は一度きりです。言葉を噛んで言い間違えても撮り直しはせず、言い直せば良い。収録の授業でも対面授業と同じにやると決めたのだから、そうしています。

回を重ねるごとに、授業収録にも慣れてきます。そして連休明けから授業動画配信を開始して約1ヶ月、学生は見えなくても、普段の授業通りにできているのです。案外楽しく授業させていただいています。まだ一度も会ったことがない学生。やり取りはメールだけ。そのような状況でも私の持つ解剖学・生理学の知識を惜しみなく提供したいという気持ちは変わらず、むしろ強くなっています。授業はオンデマンドでも良いのではと思いはじめていました。しかし頭の片隅でそれを否定します。いやいや、授業は対面でないと、相手の表情や反応をこの目で見て確かめながら授業するべき、対面で学生の状況をアセスメントしながら授業は行うべきという考えがモヤモヤしています。

では、当の学生はどう考えているのでしょう。アンケートをとってみました。きっと学生も大学に来て対面で授業を受けたいのだと予想していました。結果は・・・「このままオンデマンドがいい」と回答した学生が約5割。「オンデマンドと対面授業の組み合わせが良い」が約3割、「対面授業が良い」が約2割・・・意外と「対面授業が良い」が少ない。オンデマンドが良いのか。なるほど。繰り返し、好きな時に視聴できるなど、メリットが大きいと予想はしていましたが、ここまで如実に出てくるとは。

対面授業が開始されても、オンデマンド授業の需要は高いことがわかりました。これからは新型コロナウイルスと共に暮らす新しい生活様式。対面授業だけで全ての回数の授業を実施するのは難しいのではという現実もあります。幸いにも本学は学生にPCを貸与しており、ネット環境は各家庭に依存という問題点はありますが、それでもインターネットを活用した授業は敷居が低くなっていると思います。オンデマンド授業をバッサリとやめてしまう理由がありません。

学生の多くは、オンデマンド授業が良いと考えています。そのような学生の声を意外と思ったのは、対面授業ありきで考えていた自分がいるからです。

新型コロナウイルスと共に生きる新生活。新しい生活様式。テレワークが一般的に実施され浸透してきたのと同様、オンデマンド、オンライン授業も一般的に浸透していくのでしょう。ならば、それに対応しなければ。むしろ使いこなしていかなければ。これまで通りに授業ができないのは新型コロナウイルスのせいだと文句を言っても何も変わりません。ピンチにならないと変われない自分は情けないと思いますが、素直にチャンスだと考えています。

教員データベース:高野 海哉⇒

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