東京医療保健大学
Menu

ヘルスケアコラム

医療革命の黎明期

医療保健学部 医療情報学科
津村 宏
18世紀に蒸気機関の発明による家内制手工業から工場制機械工業へという産業革命がおこりました。21世紀のいま、医療ビッグデータが医療革命をおこします。 
 
超高齢社会を迎え、国は国民が生涯にわたり健康を維持する「生活の質(QOL)の向上」を目指した政策を行っています。その政策の一環として医療・健康・福祉に関わる情報の電子化と蓄積が進行中です。例えば、医療費の支払いのために診断名、薬、検査などの情報を記述したレセプトをオンラインで収集し蓄積するナショナルデータベース、生活習慣病に対応した特定健康診査や特定保健指導の結果を蓄積する特定保健指導データベース、あるいは一般社団法人National Clinical Databaseが作成している手術症例のNCDデータベースなど、医療ビッグデータが整備されつつあります。
 
一方では、侵襲を伴わない簡易な検査方法が開発されたり、心電計、血圧計など各種センサーが超小型化しウェアラブルとなったり、しかも長時間の連続記録も可能となってきました。またスマートフォンでは、単なる万歩計でなくGPSの位置情報や加速度計から運動量を測定したり、食事を写メるだけで栄養管理するようなアプリケーションも開発されています。この結果、病院の中の患者から得られたデータだけでなく、健康な人も含めて日常生活の中で長時間連続して各種データが取得され、更なるビッグデータが構築されていくことは明らかです。
 
今まで測定できなかったデータや、関連が無いと思われ測定されなかったデータなどのビッグデータを解析することで、人種・性別・年齢・生活環境などを考慮した最も良い治療法、副作用の少ない治療法、病気になる前の兆候、薬の対象外であった別の病気に対する有効性、無関係とされていた症状や検査値と病気の関連性、健康を維持するための生活パターンなど新しい知見が発見される可能性を秘めています。従来の経験と限定された症例に基づく医療から、ビッグデータで保障した質の高い医療を提供する医療革命の入り口に来ています。
 
このような事を行うためには、ビッグデータを収集できる仕組みを作り維持し、また蓄積したデータが何時でも利用できるように管理する情報技術者が必要不可欠です。更に、その情報技術者に医療の知識が無い限り、最適な医療ビッグデータの管理や分析はできません。いま医療ビッグデータを扱う医療情報技術者が求められています。
 
あなたもこの医療革命に参加しませんか!
 
このページの先頭へ